Loosening Atmosphere

なめくじの森で留学をするひとのぶろぐ

TAをはじめてするクオーターを終えて

またしばらく放置してしまっていました…

 

こちらのブログ記事を学期中に読んで「そうそう,TA経験談ってなかなか落ちてないのよ!」と共感していたのですがクオーターが終わるまでなかなか時間が取れなかったので今更書いてみます.

 

mephistopheles.hatenablog.com

 

最初に断っておきますが大学学科分野によってTAのあり方は色々だと思いますので私の日本・アメリカでの経験もそのうちの一つだと思って頂ければと.とりとめなくだらだらと書きます.

 

日本とアメリカのTAの大きな違い その1:多くの場合前に立って教える機会がある

これもいつでもそうというわけではなくて,アメリカでもgrading (採点)だけで終わるTAのポジションもあるはずです.ただ,日本で私がやったことのあるTAは授業に参加しても役割としてはあくまでアシスタント(CUIの統計ソフトRの授業で躓いている学生がいないかモニタしてアシストするというような)でした.あとはだいたい縁の下の力持ちという名の採点やら事務仕事(コピーとか)が主な仕事なことが多かったです.それに対して,こちらではsection(recitationやらdiscussionやら時と場合によって名前は色々)という講義に付属した演習をやる時間が用意されていることがあるんですが,それを担当するのがだいたい大学院生のTAという位置づけです.その内容も時と場合によって色々ですが,今回は完全に私たち任せでした.(先生や授業によってはプランが予め与えられるところもあるはずです) 今回は毎週ある小テストの準備をさせる,という目的がはっきりあったのでプランはとても立てやすかったです.大体の場合worksheetを作ってそれをやりながら復習するという形をとりましたが,だいたいうまくいきましたし,学期末にはテストで使いたいからまた新しいのをちょうだい,といってくれる子もいました.

違いその2:学生との距離が近い

まあこれはこちらではTAだけにかぎらないかもしれませんが.驚いたことの一つにTAもOffice hourを持つというのがありました.私の日本の所属ではOffice hour自体設定している先生がほとんどいなかったというのもありますが,TAがそういうのを設けているのも本当にひとつやふたつの授業でしか経験したことがないですし,自分がTAをしていた時もそういうことをする機会はありませんでした.…まあ,といっても学期の最初は全然学生も来ないし(まあ内容的に来ないかな?という内容でもあったのですが)暇だけどなんかドキドキするだけの時間でもあったのですが.

office hourを除いても学生はアグレッシブだなあというのが最後まで持った感想でした.一番困るのが成績についてですが….大体の場合はTAには成績に関する権限はありませんから講師の先生に相談するしかないんですが,とりあえず学生にとってはTAの方が距離が近い(一番大きいのは年齢的なものですかね)のでガンガンアタックしてきます.まあこのあたりはだいたい対応の仕方がわかるからいいのですが,ちょっと戸惑ったのはより特殊なケースです.「こういう病気があるのだけれど」「軍の訓練があって」「家族の緊急事態が」というような….今回持ったクラスが全体として250人学生がいるマンモス授業で私の担当がその半分だったので余計に多く感じたのかもしれないですが,最初はそういうのに面食らってしまいました.結論としてはこれも先生にお伺いを立てた結果,公式な書類などを貰って対応する,というのが一番の方法だというのがわかりました.そしてその窓口に各カレッジの担当者を通すことが出来るということも今回はじめて学びました.

私の学科にはTA trainingがあって,去年はTAをする機会はない中色々なノウハウを知る機会だけはあったのですが,その中でやはりTAは学生と教授の架け橋,という話が出ていて,それを体で実感したクオーターでした.

 

外国人・留学生として教えることについて

一番心配なのは言葉の問題だと思います.というか少なくとも私はそうでした.こちらにきて恥ずかしながらoral系の点数が足りなかったので,留学生向けのTA trainingみたいなものも受けていました.その時には「私は留学生だから英語に難があるところがあるかもしれない.その時には遠慮なく止めて欲しい」とはっきり最初に言うこと,と教わりました.私はそれを実際に実行して,かつまあ内容が言語学なので「そこで私がどういうミスをするかを観察するのも言語学的に面白いよ☆」という冗談もつけてみたりして楽しい自己紹介にしてみたりしました.もちろんそれですべてオッケーというわけではなくてworksheetを補助に使ったり,板書もうまく使うことで自分の弱さを最大限カバーする形でsectionを運営することに気を使いました.「今のちょっとわからなかった」というツッコミがはいることがあっても,具体例を使ったり図を使えばなんとか伝えることができました.時々は他の学生が助けてくれたりもして,情けないと思いながら助けられるということは彼らは内容がわかっているということだし,かつ協力的に助けてくれることが嬉しかったです.

あとこれは大学によってぜんぜん違うと思うんですが,学生の中にも留学生(あるいは授業で使われている言語が第一言語ではない学生)がいるかもしれない,ということに目を向けてみるのも大事かな,と思いました.彼ら彼女らにとって,同じような留学生が前で教えているということは安心する要素にもなります.私が今いるところはアメリカ人が大半で,その意味で私にはプレッシャーだったのですが,それでも少数ながら留学生や英語が母語でなく苦労している学生もいて,そういった子たちが彼らなりの悩みを相談しにきてくれたりしました.(特に音声学なんかでは英語の発音がどう表されるかが問題になったりしますからね.) 私も交換留学時代に「英語が母語じゃないんだからわかるわけないだろ〜〜〜〜!!!」みたいな思いをしたことがあったので彼らの主張のうちのいくばくかはわかったりして,「それでもこうやって勉強するっていう方法があるよ」というようなアドバイスができたりしました.これは言語が違うというところを良い方向に使えた例かな,と思います.

でも,それで嫌な経験をすることもありました.一度「ねえ,あなたは中国語のほうが上手に話せるの?」って聞かれたりしたことがありました.聞いてきた学生はたぶん中国人の子で,いやでも中国人なら私の名前が中国人の名前ではないことはすぐわかるだろうしなんでこういうことを聞くのか謎なんですが,まあ気持ちの良いものではありませんでした.というか豆腐メンタルの私には結構ショックで,帰りのバスに揺られながら「部屋に帰ったら泣いてやる…」と思うくらいでした 笑 でも実際はバスの中でそんなこと気にしてはいられないほど他の学生からのメールが舞い込んできていることに気がついて,「あー,大人数のうちの一人なんて気にしすぎてちゃいけないんだ」と思えて持ち直したのですが.そして,その経験を話して相談に乗ってくれる知り合いと講師の先生(彼も博士課程からアメリカに留学している)がいたことも大きな救いになりました.同じ留学生の学生と話してみるのもすごく良いと思います.たぶん,こういう経験はどこでも何かしらこれからもすることになるんだとおもいますが,大多数の学生は邪悪ではないということをいつも心に留めておくべきですね.

 

とりとめなくなってしまいましたが,プレッシャーが私にはものすごかったものの,本当に貴重な経験だと思いました.もちろん研究との両立もよく考えながらやらないといけないものでもありますが….私が今回学んだことをまとめると

-とりあえずわからないことは講師の先生か一緒に仕事をしている(先輩)TAに相談

-学生はアグレッシブかもしれないけど大多数は良い子

-コンプレックスみたいなものはどうにか生かす場面を見つけると楽になる

-嫌な経験をしたら自分と同じようなバックグラウンドがある人と話すとよい

というようなことですかね?

 

自分の母語じゃない言葉を使って実際教える機会を持つのは本当にプレッシャーだと思いますが,だいたいなんとかなるものです.私がなんとかなったんだから大丈夫だと自信を持って他の人に言えます 笑 まだTA evaluationをみるまでにはしばらく時間がかかるようなのでまたそれを受け取ったら改めて反省会をしなければならないかもしれないですが,とりあえずは最初の経験としてはまずまずうまくやれたかな,とおもっています.来クオーターはまた違った雰囲気の授業のTAなので,また試行錯誤かと思いますが同時に自分の専門分野なので楽しみでもあります.がんばります